ウソブクタマシイ ある日の想い

 
27
 
1122396906.jpg
黄色の絵の具でレタリングしてたら、
ふっと想いが学生時代へと遡っていったのであります。
専門学校へ入って間の無い頃、初めてのレタリングの授業。
老先生が急に怒鳴り声を上げたのであります。
「白い紙に黄色の絵の具でレタリングしても見えないじゃないかっ!」
そして、周りの生徒を見回し続けたのであります。
「いいですか、これは悪い例です。白地に黄色は駄目ですよ。」
僕が、あーぁ、可哀想にと思ったその時、
その生徒が立ち上がり、猛然と抗議しはじめたのであります。
「あんたが、何色でレタリングしても、いいと言ったんじゃないか。ちゃんと教えなければ解らないだろ。」
一風、変った人でありました。
当時、幾つだったのか、年上だったというのは確かなのだけれど、年齢不詳で、
眼鏡をかけ髪を無造作に伸ばしていたせいか、
どこかジョン・レノンの匂いのする人でありました。
常に静かに怒ってる人でありました。
デッサンの授業では、誰よりも早く書き上げ(覗いてみると真っ黒でした。)、
レタリングや版下の授業では、「こんな授業、意味が無い。」とぼやき、
それを直接、先生に訴える人でありました。
「ここに何かを表現しようと来てるのは君だけだ。」と
何故だか、僕は気に入ってもらえたのでありますが、
先生方にも生徒にも、強烈なインパクトを残し、
学校に幻滅したのか、2ヶ月あまりで彼は急に姿を消したのであります。
当時、彼の問いかけに僕は答えることは出来なかったけれど、
今なら、引き止める事が出来たのにと思うのであります。
表現する手段は教わったり教えることが出来るけれど、表現そのものは教わったり教えたり出来るもんじゃないって。手段には、ある程度、鍛錬が必要だって。
黄色の絵の具で、ふっと、そん事を思ったのであります。
しかし、黄色はムラが出来て塗りにくい・・・・・・。

スポンサーサイト
    21:58 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
 
18
 
1121618150.jpg
つい先日、漫画家の永嶋慎二さん、プロレスラーの橋本真也さんが、お亡くなりになり、
少なからぬショックを受けたのであります。
当たり前の事なのかもしれませんが、僕には「死」というものが、よく解らないのであります。
親父の腹の動脈瘤。外から見ても脈拍を見てとれる程でありまして、
それは規則正しい時計の様に、親父の残り時間を刻んでいるようなのであります。
親父の家を整理するにあたり、親父の絵は出来るだけ、多くの人に見てもらえる病院や施設に貰って戴く事にしたのであります。
ろくでなしの親父でありますが、絵の方は随分と喜んで貰って戴けたのであります。
僕には「死」というものが、よく解らないのでありますが、
いつか僕が死ぬ時に、
全然、見も知らぬ人達に、
永嶋慎二さんの作品のように、橋本真也さんの試合の記録のように、
親父の絵のように、タンポポの綿毛のようなものを残せたらと、
ちくっと羨ましくも思ったのであります。

お二人の御冥福を祈るのであります。

    22:00 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
 
15
 
作家の藤本義一さんが、昔、神戸で百円塾なる催しをされた。
お年寄りと子どもの交流だったか、お年寄りから子どもへ受け継ぐ知恵だったか、
まぁ、そんな趣旨で、お年寄りが先生で、子どもが生徒。
子ども達が百円握って教えを請いに行くのであります。
ところが、絵の先生だけは都合がつかず、
当時、バイトしてたところの、ちょっとした関係で、
アロハシャツを着た、ラヘラした僕にお鉢が回ってきたのであります。
チラシを貰って、目を通したところ、
何やら大学元教授や、何やら何じゃら名誉会長やら、
えらく重たそうな肩書きの付く、お年寄り先生の名前が続く名簿の欄に、
いつの間にか、児童心理研究家になって、僕の名前が載っておりました。
肩書きなんて、いい加減なもんであります。

個展に備え、京都にある、そこらじゅうの新聞社、出版社に案内状を出したのであります。
前に主催の賞を受賞した関係か、朝日新聞の京都版に案内を出して戴けるとの事なのであります。朝日新聞社の方が、はじめ画廊へと連絡して下さったのであります。
新聞の力は、権威は、大きいらしく、
画廊の方が、急に、僕のことを先生と呼び始めたのであります。
まぁ、訂正するのも邪魔臭いのだけれど、
肩書きなんて、どうでもいいのであります。

どうする訳でも無いのだけれど、名刺交換する人が、何やら大人に見えて羨ましく、
名刺を作ったのであります。
名前の上に「肩書きなんて、いらないよ」と書いて。

    22:03 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
プロフィール

早川修

Author:早川修
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード